2012/09/26

「shade 日陰」


2012.6.23

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館にて「にわのわ」
というアート&クラフトフェアに参加させていただきました。

こういった野外展示の一番の難点は、

野外展示=テント

必ずといって良いほど、天候の事を考えテントや、屋根をつくり
せっかくの屋外なのに、
わざわざ屋内もどきをつくらなければいけない。。。

そんな不満から始まった作品。

「shade(日陰)」

巾1mのアルミ蒸着シートをつなぎ合わせ、3m×3mのシートを2枚貼り合わせる。
ヘリウムガスを入れ、ぽっかり浮かんだその下にできた陰。

川村記念美術館の広い広い芝生の上で、ぽっかり浮かんだバルーンとその陰を思い浮かべ
寝ても覚めても風の事ばかりが気がかりだった。
バルーンの最大の敵は風だ。

普段気にもしない風速というものがとても気になりはじめる。
風がない日なんかない。。。


そして当日の予報。
午前風速1m。午後16:00より2m。

奇跡に近い。
良かった。。。
なんとかなりそうだ。


ヘリウムガスを入れ、地上から力強く離れようとするバルーンを、釣り糸でしっかりと地面に結ぶ。
ときおりのそよ風で、ボヨボヨと動くバルーンはまるで生き物だ。

そしていよいよ「にわのわ」が始まった。


photo by shinobu





と同時に大喜びで駆け寄ってくる子供達。。。

!!!!

危なーい!!

興奮した子供達が、釣り糸が張られたバルーンの下を駆け回る。。。



風の事ばかりを心配していた私の頭には、まったくもって「子供」という登場人物は浮んでもこなかった。
そして、これほどまで、子供の多いクラフトフェアは初めてだ。。。

入れ替わり立ち代り、子供達がやってきては、バルーンの下で跳んだり跳ねたり掴んだり引っ張ったり。。。
格好の遊び場となる。
子供にとって、このバルーンを見せびらかし、騒ぐな、触るなというのはあまりに残酷だ。

結局、その日一日中、子供達が転んで釣り糸で怪我をしてしまわないか、
バルーンに穴を開けてしまわないか心配で、
はしゃぎすぎる子供に注意をうながす、嫌な大人役をしながら、
その場所を離れる事ができなかった。。。



photo by shinobu

photo by shinobu


長い長い一日も、必ず終わる。
にわのわは、目標人数を上回り大盛況で幕を閉じる。




バルーンは、1日中子供たちにつっつかれ、気温のせいもあってか、ぐったりしている。
私も心底ぐったり。。。

そして作品の搬出。

繋がれた釣り糸を1本、1本ハサミで切る。

その糸を1本、1本、手に持つ度に、バルーンは私に訴え掛ける。

その意志は、どんどん、どんどん増していく。
それを強引に阻止する権利は、もう私にない。



数分後。



大空に1点のshadeができた。
作品は、時々、意思を持って思わぬ方向に舵を切って進む。












今年初めての試みとあって、色々な不具合があってもおかしくないイベントでしたが、
にわのわスタッフのみなさんが、搬入から、搬出まで、手取り足取り
段取り良く、実に完璧なサポートをしてくださいました。
お客さんの数も、予想をはるかに上回る数。
色々な意味でグレードの高いイベントでした。

来年も引き続き続いていく「にわのわ」
来年は、6月1日、2日の2日間になるそうです。
今年行けなかった方も、来年は是非。

http://niwanowa.info/













2012.9.26

素材: アルミ蒸着フィルム 釣り糸






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